Echeveria amphoralis E.Walther

基本情報
- 科
- Crassulaceae
- 属
- Echeveria
- 学名
- Echeveria amphoralis E.Walther
- 命名者・著者引用
- E.Walther
- 記載年
- 1958
分布
- 原産国
- Mexico
- 州・地域
- Oaxaca・Yosondúa
- 具体的産地
- Tlaxiaco~Río de Tablasでは採集記録あり。Yosondúa系統の具体的な野生産地は未確認
自生地に関する記録
本文/補足・記録
ヨソンドゥアは正式な変種名ではない
「Echeveria amphoralis Yosondúa」のYosondúaは、植物学上の正式な変種名として確認されていません。
栽培品種として正式に発表された記録も、今回の調査では確認できませんでした。
そのため、Echeveria amphoralis var. yosonduaやEcheveria amphoralis ‘Yosondúa’とはせず、「Echeveria amphoralis Yosondúa」と地域名を付けて扱います。
ヨソンドゥア(Yosondúa)は、メキシコ・オアハカ州に実在する地域です。
流通ではアクセント記号を省いた「Yosondua」という綴りも使われていますが、地名としては「Yosondúa」と表記します。
Echeveria amphoralisはオアハカ州の野生種
Echeveria amphoralisは、ウォルターが1958年に『Cactus and Succulent Journal』で新種として記載した植物です。
2026年現在、Plants of the World Online(POWO)ではEcheveria amphoralis E.Waltherを正式に認められた種として扱っています。
自然分布はメキシコのオアハカ州です。
Echeveria amphoralisの野生採集記録をたどるうえで重要なのが、トラスコからリオ・デ・タブラスにかけての地域です。
トーマス・ベイリー・マクドゥーガルのフィールドナンバーMACD B82には、トラスコ~リオ・デ・タブラス周辺で採集されたEcheveria amphoralisの記録があります。
フィールドナンバーデータベースには、MACD B82について複数の採集記録が登録されており、「Tlaxiaco to Rio de Tablas」「South of Tlaxiaco, Rio de Tablas」などの産地情報が確認できます。
MACD B82は、マクドゥーガルによる植物採集に結びつけられたフィールドナンバーです。
園芸店の商品番号とは意味が異なります。
現在の研究につながる標本も残されている
トラスコ~リオ・デ・タブラスでは、より新しいEcheveria amphoralisの標本も確認されています。
2007年1月8日、J.レイエス(J. Reyes)がオアハカ州トラスコのリオ・タブラス(Río Tablas)で採集した標本です。
採集番号は5600、標本はMEXU 1364380です。
標高2,123 mで採集されています。
この標本は、2026年に発表されたEcheveriaのDNAを使った系統研究で、Echeveria amphoralisの解析にも使用されました。
つまり、トラスコ~リオ・デ・タブラスの植物が、2026年の研究でもEcheveria amphoralisとして解析されたことを確認できます。
一方、このJ. Reyes 5600が「Yosondúa」の名前で流通している系統と同じ由来であることを示す資料は確認できません。
両者は分けて考える必要があります。
名前の由来は壺のような花
「amphoralis」という種小名は、「amphora(アンフォラ)」に関連する名前です。
アンフォラは、古代ギリシャやローマなどで使われた壺形の容器です。
ウォルターは、花がアンフォラのような形をしていることからEcheveria amphoralisと命名したと説明しています。
ウォルターの記載では、葉は厚く、長さは最大約3.5 cm、幅は最大約2 cmです。
緑色の葉を持ち、葉縁には赤みが現れます。
花序は約20 cmで、4~7個の花を付けます。
花冠は最大約24 mmです。花冠とは、花びら全体を指す部分です。
花冠の付け根は緋赤色で、縁から先端にかけて黄色になります。
この花の形が、Echeveria amphoralisという名前の由来になっています。
ただし、ICNではEcheveria amphoralisの原記載とタイプ標本の関係について問題が指摘されています。
ウォルターが記載に使った生きた植物と、学名を適用する基準となるタイプ標本CAS 409844は、同じ植物に由来するものではないとされています。
そのため、ウォルターが記載した植物の姿と、現在Echeveria amphoralisという学名の基準になっている標本との関係には注意が必要です。
Yosondúaの野生由来はどこまで確認できるのか
「Yosondúa」というラベルを持つEcheveria amphoralisは、園芸流通で確認されています。
そのため、「Echeveria amphoralis Yosondúa」という名称が園芸上使われていること自体は確認できます。
しかし、Yosondúaとトラスコ~リオ・デ・タブラスがともにオアハカ州にあることだけでは、流通するYosondúa系統の野生産地を証明できません。
今回確認した資料では、Yosondúaで採集されたEcheveria amphoralisの標本について、採集者、採集番号、正確な採集地点、標高までを結びつけて確認できる記録は見つかりませんでした。
そのため、YosondúaをEcheveria amphoralisの標本で確認された産地とはせず、「Yosondúaの地域名で流通する系統」として扱います。
現在もEcheveria amphoralisとして扱う
Echeveria属では、近年DNAを使った系統研究によって分類の見直しが進んでいます。
Echeveria amphoralisも2026年の研究で実際にDNA解析されています。
しかし、今回確認した2026年の分類研究では、Echeveria amphoralisについてBalbinaeaやCarrilloaへの新しい組み合わせは発表されていません。
POWOでも2026年現在、Echeveria amphoralis E.Waltherが正式に認められた学名として採用されています。
そのため、tanitanien植物図鑑では、種の学名をEcheveria amphoralis E.Walther、地域ラベルを含む表記をEcheveria amphoralis Yosondúaとして扱います。
出典・参考資料
- Walther, E. (1958). Echeveria amphoralis E.Walther. Cactus and Succulent Journal (Los Angeles) 30: 149, figs. 84–85.
- International Plant Names Index(IPNI). Echeveria amphoralis E.Walther. Cact. Succ. J. (Los Angeles) 30: 149, figs. 84–85 (1958). Type distribution: Oaxaca, Mexico.
- Plants of the World Online(Royal Botanic Gardens, Kew). Echeveria amphoralis E.Walther. Status: Accepted. Native range: Mexico (Oaxaca).
- World Flora Online. Echeveria amphoralis E.Walther. Mexico Southwest.
- International Crassulaceae Network. AMPHORALIS Walther, 1958. 原記載に使用された生植物とタイプ標本CAS 409844との関係について整理。
- Cactus and Succulent Field Number Database. MACD B82. Thomas Baillie MacDougall. Echeveria amphoralis. Tlaxiaco~Río de Tablas周辺, Oaxaca, México.
- Cruz-López, L.E. et al. (2026). Phylogenetic analysis and the recognition of a new genus for Mexican Crassulaceae segregated from Echeveria. TAXON 75(3): e70153. 解析標本:J. Reyes 5600, MEXU 1364380. Mexico, Oaxaca, Tlaxiaco, Río Tablas, sur de Tlaxiaco rumbo a la aeropista. 2,123 m. 8 Jan 2007.