Echeveria agavoides Lem.

基本情報
- 科
- Crassulaceae
- 属
- Echeveria
- 学名
- Echeveria agavoides Lem.
- 命名者・著者引用
- Lem.
- 記載年
- 1863
分布
- 原産国
- Mexico
- 州・地域
- Guanajuato
- 具体的産地
- La Virgen(流通上の地域名)
自生地に関する記録
本文/補足・記録
アガボイデス ラ・ビルヘン GTOは、Echeveria agavoides にLa Virgen(ラ・ビルヘン)とGuanajuato(グアナフアト)の地域名を伴って流通している植物です。
「GTO」はGuanajuatoを示す略記です。
この植物を調べるうえで注目したいのが「La Virgen」という名前です。
Guanajuato州にはCañada de la Virgen(カニャーダ・デ・ラ・ビルヘン)という実在する場所があり、そこでは Echeveria agavoides が実際に採集されています。
しかも、その記録は植物標本と植物誌の両方から確認できます。
グアナフアトにはアガボイデスが自生する
まず、Echeveria agavoides とGuanajuato州の関係は植物資料から確認できます。
メキシコの植物データベースeFloraMexでは、Guanajuatoを Echeveria agavoides の自然分布域として掲載しています。
メキシコ国立自治大学(UNAM)のイスタカラ植物園資料でも、州内の具体的な分布地として、
San Luis de la Paz(サン・ルイス・デ・ラ・パス)
San Felipe(サン・フェリペ)
La Bufa(ラ・ブファ)
が挙げられています。
つまり「GTO」という地域情報と Echeveria agavoides の自然分布は一致しています。
Cañada de la Virgenには実際の採集記録がある
今回さらに重要なのが、Cañada de la Virgenの記録です。
メキシコ国立自治大学(UNAM)のメキシコ国立植物標本庫(MEXU)には、
Echeveria agavoides Lem.
MEXU 848742
Guanajuato
Cañada de la Virgen, Agua Sabrosa
という標本が登録されています。
さらにFlora del Bajíoに関係する資料にも、
Agua Sabrosa, Cañada de la Virgen, municipio de Guanajuato
から採集された Echeveria agavoides が記録されています。
採集者はフアン・マルティネス(Juan Martínez)、採集番号931です。
つまりCañada de la Virgenは、単にアガボイデスが生育していそうな場所というわけではありません。
この地域で Echeveria agavoides が実際に採集されたことを、植物学的な記録から確認できます。
「La Virgen」と「Cañada de la Virgen」は分けて考える
ここで注意したいのが、流通名と植物資料に記録された地名の関係です。
園芸流通では「La Virgen GTO」や「La Virgin Gto」などの名称が使われています。
一方、植物標本や植物誌に記録されている地名は、
Cañada de la Virgen
です。
また「Virgen」はスペイン語の語で、「Virgin」は英語の綴りです。
そのため、流通上の「La Virgin」という表記を植物資料に記録された正式な地名として扱うことは避けます。
さらに重要なのは、「La Virgen」という流通名だけから、それがCañada de la Virgenを省略した名称だと断定することもできないという点です。
本図鑑では流通名として「ラ・ビルヘン」を残し、植物学的に確認できる場所についてはCañada de la Virgenと区別して記録します。
Cañada de la Virgenとアガボイデスの関係は標本まで確認できる
地域名付きで流通するアガボイデスでは、州までは確認できても、さらに細かな地域と Echeveria agavoides を直接結びつけられない場合があります。
Cañada de la Virgenについては状況が違います。
Guanajuato州に Echeveria agavoides が自然分布する。
Cañada de la Virgenという場所で Echeveria agavoides が採集されている。
そして、その記録が植物標本として現在まで残されている。
ここまでを実際の植物資料から確認できます。
したがって、Cañada de la Virgenと Echeveria agavoides の関係そのものには、明確な植物学的裏付けがあります。
ただし現在の流通株とのつながりは別
一方で、Cañada de la Virgenに Echeveria agavoides が生育していることと、現在「La Virgen GTO」の名前で流通している植物の由来は別の問題です。
今回確認した資料では、現在の流通株をCañada de la Virgenの採集個体や特定の標本まで直接つなぐ導入・増殖記録は確認できませんでした。
そのためtanitanien植物図鑑では、
「La VirgenとGuanajuatoの地域名を伴って流通する Echeveria agavoides 系統」
として扱います。
Guanajuato州のCañada de la Virgenに Echeveria agavoides が実際に生育していたことは、植物標本と植物誌から確認できます。
一方、「La Virgen」という流通名がCañada de la Virgenそのものを指しているのか、そして現在の流通株がその野生個体群に由来するのかは、今回確認した資料だけでは確定できません。
実在する分布記録と流通株の来歴を分けて残すことが、この植物を正確に記録するうえで重要です。
出典・参考資料
- eFloraMex – Flora de México en línea. Echeveria agavoides Lem.
- Portal de Datos Abiertos UNAM, Herbario Nacional de México (MEXU). Echeveria agavoides Lem., MEXU 848742. Guanajuato, Cañada de la Virgen, Agua Sabrosa.
- Jardín Botánico Iztacala, Universidad Nacional Autónoma de México. Echeveria agavoides Lem.
- Pérez-Calix, E. (2008). Crassulaceae. Flora del Bajío y de Regiones Adyacentes 156: 1–141.
- Meyrán, G. J. & López, C. L. (2003). Las crasuláceas de México. Sociedad Mexicana de Cactología A.C.