Echeveria agavoides Lem.

基本情報
- 科
- Crassulaceae
- 属
- Echeveria
- 学名
- Echeveria agavoides Lem.
- 命名者・著者引用
- Lem.
- 記載年
- 1863
分布
- 原産国
- Mexico
- 州・地域
- San Luis Potosí
- 具体的産地
- Ahualulco、Hacienda San Francisco、Zaragoza
自生地に関する記録
本文/補足・記録
「アガボイデス アウアルルコ」のアウアルルコは、メキシコ・サン・ルイス・ポトシ州に実在する地名です。
さらに、単に流通名に使われている地名というだけではありません。メキシコ国立自治大学(UNAM)の植物園が示す分布資料では、Echeveria agavoides のサン・ルイス・ポトシ州における分布地として、アウアルルコが記録されています。
そのため、アウアルルコで Echeveria agavoides が記録されていること自体には、植物学的な裏付けがあります。
一方で、現在「アガボイデス アウアルルコ」として流通している株そのものが、この地域の野生集団に由来することまでは確認できていません。
アウアルルコは実際に記録されている分布地
アウアルルコは、メキシコ・サン・ルイス・ポトシ州に実在する地域です。
メキシコ国立自治大学(UNAM)の植物園が示す分布資料では、Echeveria agavoides のサン・ルイス・ポトシ州における分布地として、アウアルルコが記録されています。
この情報は、ヘロニモ・メイラン(Jerónimo Meyrán)とルイス・ロペス(Luis López)が2003年にまとめたメキシコのベンケイソウ科植物に関する資料に基づいています。
したがって、アウアルルコで Echeveria agavoides が記録されていることには、植物学的な裏付けがあります。
サン・ルイス・ポトシ州に分布するアガボイデス
Echeveria agavoides は、1863年にシャルル・アントワーヌ・ルメール(Charles Antoine Lemaire)によって発表されたメキシコ固有の植物です。
メキシコ国内の複数の州に分布し、サン・ルイス・ポトシ州もその一つです。
同州ではアウアルルコのほか、アシエンダ・サン・フランシスコやサラゴサなどが分布地として記録されています。
また、メキシコ国立植物標本館(MEXU)には、エドワード・パーマー(Edward Palmer)が1905年3月にサン・ルイス・ポトシ州で採集した Echeveria agavoides の標本も保存されています。
ただし、この標本の公開記録には州より詳しい採集地が示されていないため、アウアルルコで採集された標本とすることはできません。
今回確認したオンライン標本資料でも、採集地が明確にアウアルルコとされている標本までは確認できませんでした。
「アウアルルコ」は正式な変種名ではない
流通上の名称を見るときに注意したいのが、「アウアルルコ」の植物学上の位置づけです。
現在、Echeveria agavoides には複数の正式な変種が認められていますが、「var. Ahualulco」という変種は確認されていません。
そのため、「アガボイデス アウアルルコ」を Echeveria agavoides var. Ahualulcoという正式な変種名として扱うことはできません。
また、アウアルルコは正式な栽培品種名として確認されている名称でもありません。
tanitanien植物図鑑では、植物学的に分布が確認されている地域名を伴う流通名称として扱います。
分布記録と流通株の由来は分けて考える
アウアルルコで Echeveria agavoides が記録されていることは確認できます。
一方で、現在「アガボイデス アウアルルコ」として流通している株が、実際にアウアルルコの野生集団から採集された植物に由来するかどうかは別の問題です。
今回確認した資料では、流通株とアウアルルコの特定の野生標本や採集記録を直接結びつける資料は確認できませんでした。
そのため、「アウアルルコに Echeveria agavoides が分布する」とすることはできますが、流通株について「アウアルルコ産の野生系統」とまでは断定できません。
地域名付きの植物では、その地域に植物が分布しているという記録と、現在流通している株の由来を分けて見る必要があります。
現在はEcheveria agavoidesとして扱う
アガボイデスは1903年にジョセフ・ネルソン・ローズ(Joseph Nelson Rose)によってUrbinia属へ移され、Urbinia agavoides (Lem.) Roseという名前も正式に発表されています。
さらに近年のDNAを使った研究では、アガボイデスを含むUrbiniaのグループが独立したまとまりであることが強く支持されています。
2026年の研究でもこの関係が支持され、Urbiniaを独立した属として再認識することが提案されています。ただし、この論文でUrbiniaに含まれる各種について必要な新組合せがすべて正式発表されたわけではありません。
そのため、tanitanien植物図鑑では現時点で属名を先行して変更せず、Echeveria agavoides を基本学名として使用します。
今後、Urbiniaについて正式な分類処理が公表された場合には、その内容を確認したうえで表記を見直します。
異名・旧学名
- Urbinia agavoides (Lem.) Rose
出典・参考資料
- Lemaire, C.A. (1863). Echeveria agavoides. Illustration Horticole 10 (Misc.): 78.
- Meyrán, G.J. & López, C.L. (2003). Las crasuláceas de México. Sociedad Mexicana de Cactología A.C.
- Jardín Botánico Iztacala, Universidad Nacional Autónoma de México. Echeveria agavoides Lem. サン・ルイス・ポトシ州の分布資料。
- eFloraMex / Instituto de Biología, Universidad Nacional Autónoma de México. Echeveria agavoides Lem.
- Plants of the World Online, Royal Botanic Gardens, Kew. Echeveria agavoides Lem.
- Herbario Nacional de México(MEXU). Edward Palmer 1902, MEXU 14388. San Luis Potosí, 1905年3月。
- de la Cruz-López, L.E. & Espinosa, D. (2026). Phylogenetic analysis and the recognition of a new genus for Mexican Crassulaceae segregated from Echeveria. TAXON 75(3): e70153.