アガボイデス エボニー|Echeveria agavoides ‘Ebony’

Echeveria agavoides ‘Ebony’

アガボイデス エボニー(Echeveria agavoides 'Ebony')|tanitanien植物図鑑

基本情報

科
Crassulaceae(ベンケイソウ科)
属
Echeveria
学名
Echeveria agavoides ‘Ebony’
命名者・著者引用
Kimnach & Trager
記載年
1992

分布

原産国
Mexico
州・地域
Coahuila由来と報告
具体的産地
具体的産地は不明

自生地に関する記録

野生種ではなく、Echeveria agavoidesの栽培品種。HBG 62638から増殖された株がISI 92-44として1992年に配布された。HBG 62638はコアウイラ州由来と報告されていたが、野生の具体的産地は不明。

本文/補足・記録

アガボイデス エボニーは、Echeveria agavoides の栽培品種です。

‘Ebony’という名前は単なる流通名ではなく、1992年にマイロン・キムナック(Myron Kimnach)とジョン・トレーガー(John Trager)によって発表されています。

母種の Echeveria agavoides はメキシコ固有の植物ですが、‘Ebony’そのものは野生種ではありません。

この栽培品種には、ハンティントン植物園の管理番号HBG 62638と、国際多肉植物導入事業(ISI)の配布番号ISI 92-44につながる記録が残されています。

1992年に発表された栽培品種

アガボイデス エボニーは、Echeveria agavoides の栽培品種です。

‘Ebony’という名前は、1992年にマイロン・キムナック(Myron Kimnach)とジョン・トレーガー(John Trager)によって発表されました。

発表はアメリカの『Cactus and Succulent Journal』64巻2号に掲載されています。

そのため、植物名は Echeveria agavoides ‘Ebony’と表記し、栽培品種名の‘Ebony’を引用符で囲みます。

HBG 62638から増殖された‘Ebony’

‘Ebony’には、その由来をたどるうえで重要な記録が残されています。

1992年、International Succulent Introductions(ISI)は‘Ebony’を「ISI 92-44」として配布しました。

そのとき配布されたのは、ハンティントン植物園でHBG 62638として管理されていた植物から増殖した発根挿し木です。

つまり、1992年に配布された‘Ebony’については、HBG 62638から増殖された植物がISI 92-44として配布されたという履歴まで確認できます。

HBG 62638はハンティントン植物園の栽培コレクションを管理するための番号です。また、ISI 92-44は1992年の配布番号です。

どちらも、野生で植物を採集したときの採集番号ではありません。

コアウイラ州由来と伝えられた植物

HBG 62638については、メキシコ・コアウイラ州由来と報告されていたことがISIの記録に残されています。

ただし、資料では「コアウイラ州由来と報告されていた」という形で記録されており、野生での具体的な産地は不明とされています。

そのため、確認できるのは、HBG 62638がコアウイラ州由来と伝えられていたことまでです。

具体的な採集地、採集者、採集番号、標高、座標などを確定することはできません。

‘Ebony’は由来をかなり詳しく追える栽培品種ですが、栽培記録から野生での採集地点まで途切れることなく追跡できるわけではありません。

現在流通するエボニーとの関係

1992年の記録からは、HBG 62638から増殖された‘Ebony’がISI 92-44として配布されたことを確認できます。

一方、現在「エボニー」の名前で流通しているすべての株が、このHBG 62638に由来する同一クローンであることまでは確認できません。

また、「ラ・サリトレラ」や「エボニー サリトレラ」などの地域名を伴う流通株についても、証拠なしに‘Ebony’と同じ系統として扱うことはできません。

‘Ebony’という栽培品種の履歴と、その後さまざまな名称で流通している植物の由来は、分けて考える必要があります。

現在はEcheveria agavoides ‘Ebony’と表記

母種の Echeveria agavoides を含むグループについては、近年DNAを使った分類研究が進んでいます。

2026年の研究では、Echeveria agavoides を含むUrbiniaのグループが独立したまとまりであることが強く支持されました。

この研究では、Urbiniaを独立した属として再認識することが提案されています。ただし、Urbiniaに含まれる各種について必要な新組合せがすべて正式発表されたわけではありません。

そのため、tanitanien植物図鑑では現時点で属名を先行して変更せず、Echeveria agavoides ‘Ebony’を使用します。

出典・参考資料

  • Kimnach, M. & Trager, J. (1992). Echeveria agavoides ‘Ebony’. Cactus and Succulent Journal (Los Angeles) 64(2): 88.
  • International Succulent Introductions (1992). ISI 92-44. Echeveria agavoides ‘Ebony’. HBG 62638から増殖された発根挿し木として配布。
  • International Crassulaceae Network. Echeveria agavoides ‘Ebony’. ISI 92-44 / HBG 62638。
  • de la Cruz-López, L.E. & Espinosa, D. (2026). Phylogenetic analysis and the recognition of a new genus for Mexican Crassulaceae segregated from Echeveria. TAXON 75(3): e70153.