Echeveria simulans
基本情報
- 科
- Crassulaceae(ベンケイソウ科)
- 属
- Echeveria
- 学名
- Echeveria simulans
- 命名者・著者引用
- Rose
- 記載年
- 1905
分布
- 原産国
- Mexico(メキシコ)
自生地に関する記録
本文/補足・記録
## 植物名
シムランス
## 基本情報
・植物名:シムランス
・学名:Echeveria simulans Rose
・科名:Crassulaceae(ベンケイソウ科)
・属名:Echeveria
・命名者:Rose
・記載年:1905
Echeveria simulans Roseは、Joseph Nelson Rose(ジョセフ・ネルソン・ローズ)によって1905年にNorth American Flora 22:22で記載されました。
Kew Plants of the World Online(キュー・プランツ・オブ・ザ・ワールド・オンライン/POWO)では、2026年現在もaccepted species(アクセプテッド・スピーシーズ/受容されている種)として扱われています。
## Simulansという名前
“simulans(シムランス)”という種小名は、Echeveria elegansに似ることに由来します。
International Crassulaceae Network(インターナショナル・クラッスラシー・ネットワーク/ICN)が整理する原記載では、シムランスはE. elegansによく似る一方、より扁平なロゼットや、反り返らず広がる葉などの違いが示されています。
## 分布
POWOではnative range(ネイティブ・レンジ/自然分布域)をEastern Mexico to Jalisco(メキシコ東部からハリスコ州)としています。
一方、ICNでは、Aguascalientes(アグアスカリエンテス)、Guanajuato(グアナフアト)、Hidalgo(イダルゴ)、Nuevo León(ヌエボ・レオン)、Querétaro(ケレタロ)、San Luis Potosí(サン・ルイス・ポトシ)を分布州として掲載しています。
POWOとICNでは分布の示し方に差があるため、tanitanien植物図鑑では両者を独自に統合して確定した州一覧とはせず、それぞれの資料による分布情報として扱います。
## タイプに関する記録
Echeveria simulansは、1903年にC.G. Pringle(C.G. プリングル)がMexico(メキシコ)・Nuevo León州のMonterrey(モンテレイ)近郊で採集した材料に基づいて記載されました。
ICNでは産地を、in a cañon near Monterreyと整理しています。
一方、タイプに関連する採集番号の表記には資料間で差があります。
Harvard University Herbaria(ハーバード大学標本館)には、GH 00042490、C.G. Pringle、Pringle 767、September 1903、Mexico, near Montereyという標本が残されています。
これに対してICNではタイプをPringle s.n.として整理し、さらに原記載がRose 768を引用していると注記しています。
そのため、tanitanien植物図鑑では「タイプ採集番号は767」などと一つに決めず、タイプに関連する番号表記には資料間で差があるものとして記録します。
## Monterrey周辺の確認標本
MEXUには、C.G. Pringleが1906年に採集したPringle 10168の標本があります。
産地はNuevo León州のSierra Madre above Monterey(モンテレイ上方のシエラ・マドレ)で、標高900m、dry limerock(ドライ・ライムロック/乾燥した石灰岩地)と記録されています。
これは1905年の原記載より後に採集されたものであり、タイプ標本ではありません。
一方、Monterrey周辺でEcheveria simulansが確認された具体的な標本記録として使用できます。
## Iturbideの確認標本
Nuevo León州Iturbide(イトゥルビデ)からも確実な標本記録があります。
・標本:MEXU 162543
・採集者:Charles H. Uhl
・採集番号:U1919
・採集日:1970年8月19日
・場所:4.6 miles east of Iturbide, south side of Santa Rosa Canyon
・標高:1140m
この記録により、Iturbide周辺とEcheveria simulansの実際の分布との関係は標本資料から確認できます。
ただし、この標本と園芸流通上の「シムランス イトゥルビデ」系統との直接的な来歴関係は別途確認が必要です。
## 分類
POWOでは2026年現在、Echeveria simulans Roseをaccepted speciesとして扱っています。
また、POWOでは、Echeveria elegans var. simulans (Rose) Poelln.をhomotypic synonym(ホモティピック・シノニム/同じタイプに基づく異名)として扱っています。
そのほか、Echeveria goldiana E.Walther、Echeveria halbingeri var. goldiana (E.Walther) Kimnach、Echeveria hyalina E.Waltherもsynonym(シノニム/異名)として掲載されています。
したがって、シムランスには過去にEcheveria elegansの変種として扱われた分類歴がありますが、現在のPOWOでは独立した種として扱われています。
## 2026年の分子系統研究
2026年のCruz-LópezらによるTAXON論文では、本種に相当する植物を、Urbinia simulans (Rose) L.E.Cruz-Lópezという名称で扱っています。
分子系統解析ではUrbinia(ウルビニア)のelegans group(エレガンス・グループ)に配置され、このグループには、Urbinia elegans、Urbinia halbingeri、Urbinia potosina、Urbinia pulidonis、Urbinia simulansが含まれています。
このグループは分子系統解析で強く支持されています。
ただし、今回確認した2026年の論文では、Urbinia simulansについてcomb. nov.(コンビナティオ・ノヴァ/新組合せ)としての正式な命名処理を確認できていません。
IPNIでも今回、Urbinia simulansの独立した正式登録は確認できておらず、POWOでも現在はEcheveria simulansをacceptedとして扱っています。
そのため、tanitanien植物図鑑では、2026年の分子系統研究ではUrbiniaのelegans groupに位置づけられ、Urbinia simulansという名称で扱われていることを記録しますが、「2026年にUrbinia simulansへ正式変更された」とは扱いません。
異名・旧学名
- Echeveria elegans var. simulans (Rose) Poelln.
- Echeveria goldiana E.Walther
- Echeveria halbingeri var. goldiana (E.Walther) Kimnach
- Echeveria hyalina E.Walther
出典・参考資料
- Rose, J.N. (1905). Echeveria simulans. North American Flora 22:22.
- International Plant Names Index(IPNI)— Echeveria simulans Rose
- Kew Plants of the World Online(POWO)— Echeveria simulans Rose
- International Crassulaceae Network(ICN)— Echeveria simulans
- Harvard University Herbaria — GH 00042490
- UNAM / MEXU — Pringle 10168
- UNAM / MEXU — MEXU 162543, Charles H. Uhl U1919
- Cruz-López et al. (2026). TAXON — phylogenetic treatment including Urbinia simulans