Echeveria craigiana
基本情報
- 科
- Crassulaceae(ベンケイソウ科)
- 属
- Echeveria
- 学名
- Echeveria craigiana
- 命名者・著者引用
- E.Walther
- 記載年
- 1952
分布
- 原産国
- Mexico(メキシコ)
- 州・地域
- Chihuahua(チワワ州)、Sinaloa(シナロア州)。ICNではChihuahuaとSonora(ソノラ州)も記載。
- 具体的産地
- near Barranca de Rio Urinque (branch of Rio Fuerte)
- 標高
- 2350m(MEXU 837477 / Chihuahua Urique)
自生地に関する記録
本文/補足・記録
## 植物名
クライギアナ
## 基本情報
・植物名:クライギアナ
・学名:Echeveria craigiana E.Walther
・科名:Crassulaceae(ベンケイソウ科)
・属名:Echeveria
・命名者:E.Walther
・記載年:1952
Echeveria craigiana E.Waltherは、Eric Walther(エリック・ウォルター)によって1952年にCactus and Succulent Journal 24:28–29で記載されました。
Kew Plants of the World Online(キュー・プランツ・オブ・ザ・ワールド・オンライン/POWO)では、2026年現在もaccepted species(アクセプテッド・スピーシーズ/受容されている種)として扱われています。
## 分布
POWOではnative range(ネイティブ・レンジ/自然分布域)をMexico(メキシコ)のChihuahua(チワワ州)とSinaloa(シナロア州)としています。
一方、International Crassulaceae Network(インターナショナル・クラッスラシー・ネットワーク/ICN)では、ChihuahuaとSonora(ソノラ州)を分布として記載し、Sonora南部のSierra Alamos(シエラ・アラモス)からも記録を掲載しています。
そのため、tanitanien植物図鑑ではChihuahua・Sinaloa・Sonoraの3州を独自に統合して確定分布とはせず、POWOとICNで分布情報が異なるものとして記録します。
Sinaloaについては実標本も確認されており、MEXU 743564はConcordia(コンコルディア)のEl Palmito(エル・パルミト)、Durango(ドゥランゴ)州境付近で1990年に採集されています。生育環境はBosque de pino(ボスケ・デ・ピノ/松林)と記録されています。
またChihuahuaでは、MEXU 837477がUrique(ウリケ)で標高2350mから採集されています。
## タイプ標本
・採集者:Craig & Lindsay
・採集番号:3
・採集年:1939年
・タイプ標本:CAS 324971
・タイプ産地:near Barranca de Rio Urinque (branch of Rio Fuerte)
タイプ産地名については、原資料の表記をそのまま使用します。
「Rio Urinque」を現在の別の地名へ推測で補正したり、Barranca de Uriqueとの同一性を確認なしに断定したりはしません。
ICNが示す原資料では、この場所のbarranca(バランカ/峡谷)から少し離れた低い場所で、pines(パインズ/マツ類)やferns(ファーンズ/シダ類)の中に生育し、Graptopetalum occidentaleとともに確認されたとされています。
## 原記載の注意点
この種では、名称のタイプとなった標本と、Waltherが1952年の形態記載に使用した植物を区別する必要があります。
名称のタイプは、1939年にCraig & Lindsayが採集したCraig & Lindsay 3、CAS 324971です。
一方、Waltherが1952年の形態記載に実際に使用したのは、University of California Botanical Garden(ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア・ボタニカル・ガーデン)でJack Whitehead(ジャック・ホワイトヘッド)が栽培していた別の植物でした。
ICNでは、この栽培植物の由来は不明とされています。
そのため、Waltherの形態記載を「Craig & Lindsay 3のタイプ株そのものを観察して記載したもの」とは扱いません。
## 名前の由来
種小名“craigiana(クライギアナ)”は、共同発見者であるDr. R.T. Craig(R.T. クレイグ博士)に献名された名称です。
この由来はICNで確認されています。
## 生育環境
クライギアナについては、資料ごとに異なる環境記録があります。
タイプ産地ではマツ類やシダ類の中に生育し、Graptopetalum occidentaleとともに確認されたと記録されています。
SinaloaのMEXU標本では松林、Chihuahua南西部の現地報告ではSierra Madre Occidental(シエラ・マドレ・オクシデンタル)のpine-oak forest(パイン・オーク・フォレスト/松・オーク林)での生育が報告されています。
一方、POWOではbiome(バイオーム/生物群系)をdesert or dry shrubland(デザート・オア・ドライ・シュラブランド/砂漠または乾燥低木地)としています。
そのため、本種を「乾燥低木地だけに生育する植物」とは扱いません。
## 分類
POWOでは2026年現在も、Echeveria craigiana E.Waltherをaccepted speciesとして扱っています。
一方、2026年にTAXONで発表された分子系統研究では、Echeveria craigianaとEcheveria affinisが、Graptopetalum(グラプトペタルム)のclade(クレード/系統群)内部に位置することが再確認されました。
これら2種は、従来Echeveria ser. Occidentalesとして扱われてきた植物です。
研究ではcombined genomic data(コンバインド・ゲノミック・データ/複数のゲノムデータを組み合わせた解析)によってこの関係が高く支持され、分子系統、形態、生物地理の面からGraptopetalumへの移行が必要であることが論じられています。
ただし、2026年の論文ではEcheveria craigianaについてGraptopetalumへの正式なnew combination(ニュー・コンビネーション/新組合せ)は発表されていません。
そのため、「2026年にGraptopetalumへ変更された」とは扱いません。
また、Graptopetalum craigianumなどの名称を現在の正式学名として使用することもありません。
現時点では、POWOのaccepted名であるEcheveria craigiana E.Waltherを基本名として使用しつつ、Graptopetalumとの系統関係が強く支持されている段階として記録します。
出典・参考資料
- Walther, E. (1952). Echeveria craigiana. Cactus and Succulent Journal 24:28–29, figs. 11–13.
- International Plant Names Index(IPNI)— Echeveria craigiana E.Walther
- Kew Plants of the World Online(POWO)— Echeveria craigiana E.Walther
- International Crassulaceae Network(ICN)— Echeveria craigiana
- UNAM / MEXU — MEXU 743564
- UNAM / MEXU — MEXU 837477
- TAXON (2026) — molecular phylogenetic study of Echeveria, Graptopetalum and related lineages